11月2日(木)は、秋田市で秋田県清酒品評会一般公開があったので、出かけてきました。
春の品評会は、全国新酒鑑評会の前哨戦としてその年の審査の傾向など踏まえた新酒での審査なので、ピリピリした緊張感のあるお酒が多いのですが、秋は一夏越して落ちつきと風格の出た違う姿となるので、より楽しみです。
上は「刈穂」の斉藤泰幸相談役(前杜氏)、下は秋田清酒の佐渡製造部長と「出羽鶴」の佐藤賢孔杜氏。
ここ数年、ずっと明利酵母で挑んでいる「刈穂」ですが、吟醸の部は味に厚みが出たことでバランスがもうちょっととなったようで、賞には届かず。純米の部は「刈穂」らしいカリッとしたりりしさが感じられてより「刈穂」らしい姿でした。
「出羽鶴」は柔らかいおだやかならしさが出ていました。純米の部優等賞。
「天の戸」森谷杜氏。見事なバランスのいい作品で純米の部知事賞。おめでとうございます。
すべての蔵に目標とされるような堂々の姿でした。
が、あえて言わせてもらうと、半径5kmの米だけで仕込み、蔵の風景を映し出したいという酒が、まるで大手蔵のようなお手本のような酒でいいのだろうか?という想いもよぎります。
千石蔵としてのチャレンジや蔵のある風景のオリジナリティをさらに追求する、長い道のりが待っているようです。
好き嫌いや良い悪いではなく、最も心に残ったのが「一白水成」。賞を取りにいくという気持ちよりも蔵のスタイルを前面に打ち出した一白らしさが満載で、外連味がありません。
「飛良泉」はまさに飛びきりよい水の酒を標榜するような透明感。知事賞受賞。
「福小町」は香味バランスのよい大人のスタイルで知事賞受賞。でも、パリのプレタポルテに挑むような思い切ったモード全面のとんがった姿も見てみたい・・・
「新政」は多彩なスタイルを出展していて、玉手箱のよう。蔵のスタイルを貫く商品とはしっかり区別して、技術力を競う品評会ならではの向き合い方を感じます。純米の部優等賞。
品評会で賞を取るために挑む蔵と、蔵のスタイルを重要視する蔵、など、実に多彩な蔵の取り組み方がはっきりと意識された、実に興味深い品評会でした。